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対話するAIから、作業するAIへ|AIエージェントの作り方・育て方【セミナー第1部まとめ】

対話するAIから、作業するAIへ|AIエージェントの作り方・育て方【セミナー第1部まとめ】

生成AI活用ノウハウ
公開日:2026/10/13
目次
  • 対話するAIと作業するAI。違いは「手と足があるか」
  • mimuではどう使っているか
  • 社員2人で、約27人分の仕事
  • ありませんか? Excelのバケツリレー
  • AIエージェントの作り方。5つのステップ
  • 道具を選ぶ:会社で選ぶ
  • 業務を選ぶ:整理できていなくても、AIに聞けばいい
  • そのまま自動化するか、作り直すか
  • 目的の層を上げる
  • 回し続ける:作って終わりにしない
  • 指示に入れる4つの要素
  • 正直に。mimuがつまずいた6つの失敗
  • AIエージェントの育て方。東大級の新人に会社を教える
  • 情報を育て続ける:社内Wikiの作り方
  • 改善のループを設計する:5つの決めごと
  • AIに、AIを直させる
  • 丸投げは失敗する
  • いま、経営者は何をすべきか
  • AIエージェント導入のご相談

2026年9月18日、くまもとクロスイノベーション協議会の生成AIセミナー「対話するAIから、作業するAIへ!」で、第1部の講師を務めました。この記事では、第1部でお話しした内容を、当日参加できなかった方にも読めるようにまとめ直しています。第3部のワークショップ資料は配布資料の記事からダウンロードできます。

いちばん持ち帰ってほしいことは1つです。AIは「対話する」段階から「作業する」段階に入りました。2025年までのAIは質問に答える相手でしたが、2026年のAIは仕事を代わりにやる相手です。

対話するAIと作業するAI。違いは「手と足があるか」

ChatGPTに代表される「対話するAI」は、相談できる先輩です。質問すると答えを返し、下書き・要約・翻訳が得意です。ただし結果はコピペして自分で使う必要があり、あなたのパソコンの中では何も起きません。

Claude Codeに代表される「作業するAI」は、頼めばやってくれる部下です。指示すると仕事を最後までやり、ファイルを読む・作る・動かす・ブラウザを操作する、を自分でこなします。結果は成果物として出てきて、途中で自分で確かめてやり直します。

定義はいろいろありますが、私たちはこう呼んでいます。AIエージェント=パソコンを操作するAI。やることは次の6つです。

  • 読む:請求書・PDF・Excelの中身を読み取る
  • 調べる:Webやフォルダから必要な情報を探す
  • つくる:一覧表・レポート・資料・動画を生成する
  • 動かす:ファイルを整理・移動・命名する
  • 操作する:ブラウザや業務ソフトを自分で触る
  • 繰り返す:毎朝・毎週、決まった時間に勝手にやる
AIエージェントの6つの能力:読む・調べる・つくる・動かす・操作する・繰り返す

mimuではどう使っているか

当日は、冒頭で60秒の会社紹介動画を流しました。「会社紹介の動画を60秒で作って」と日本語で入力しただけで、台本・デザイン・アニメーション・書き出しまでAIエージェントが実行したものです。身近なところでは、こんな使い方をしています。

  • 請求書・画像・文書が混ざったフォルダが、「種類別に整理して」の一言で片付く
  • 打ち合わせの録音を渡すだけで、文字起こしから議事録、やることリストまで一気通貫で仕上がる
  • Googleカレンダーに接続してあるので、「今週の予定は?」で予定と準備物まで出てくる

社員2人の会社ですが、社内には12の「部署」があり、それぞれに担当AIがいます。秘書室、リサーチ、開発、営業、経理、マーケティング、クリエイティブ、総務・法務など、名前を付けて仕事を頼みます。さらに、私が寝ている間に毎晩・毎朝動く無人のAI社員が15体います。送信前に宛名と社名を照合する係、未入金を毎朝点検する係、見積期限や契約更新の期日を先読みする係などです。AIが下書きを作り、決裁箱に届き、私は朝1通に「OK/修正/スキップ」と返すだけです。

中でも力を入れているのがリサーチAIです。私たちの商売は新しい情報が命なので、「Claude Codeの活用事例を調べて」の一言で、Xの投稿とWeb記事を横断して集め、出典を確かめ、「結論→なぜ重要か→要点」の順に1ページにまとめるところまでAIにやらせています。AI同士を組み合わせ、Claude Codeが司令塔、別のAIが目になる構成です。

社員2人で、約27人分の仕事

2026年8月18日から9月17日までの30日間に、mimuが作ったものをファイルの更新履歴と開発ログから数えました。

種類30日間の量
文書(議事録・要件定義・提案)524本
HTML資料・アプリ288本
スライド387枚
プログラム約2万行
Excel・Word180本
画像・動画188枚・4本
AIの作業セッション1,540本(1日約50本)

これを慣れた人がAIなしで作った場合の工数を、常識的な単価で見積もると合計約4,300時間。1人の月間労働160時間で割ると約27人月です。厳しく見ても13人分、甘く見れば30人を超えます。差分の約25人分をAIエージェントが働き、人がやっているのは「指示する」と「確認する」だけ。だから2人が残っています。

ありませんか? Excelのバケツリレー

生成AI顧問として伴走している製造業のお客様で、月次の予実集計を変えた例があります。以前は各部門のExcelをコピペで集約し、関数を直し、報告資料に転記していました。集計と転記に毎月何日もかかり、数字が変わるたびにやり直し、担当者が休むと止まる状態です。

いまは、Excelをなくしてダッシュボードにしています。元データを置けばAIが集計・更新し、経営陣は画面を開くだけです。現場の担当者がAIと約1週間で内製し、引き継ぎ書までAIと作ったので、人が替わっても回ります。Excelのバケツリレーはやめて、AIが更新しやすい形に置き換える。これが「作業するAI」の典型的な使い方です。

AIエージェントの作り方。5つのステップ

  1. 道具を選ぶ:Claude Code、Cowork、Difyなど。まず1つに決める
  2. 業務を選ぶ:置き換える業務を1つ。毎週・毎月くり返すものから
  3. そのまま自動化か、作り直すか:人の手順をなぞらせない。AIが得意な形に変える
  4. 目的の層を上げる:「集計して」ではなく「経営陣に何を見せたいか」
  5. 回し続ける:動きをレポートさせ、人が確認し、AIが直す

難しいのは技術ではなく、3と4の「考え直す」ところです。順に補足します。

道具を選ぶ:会社で選ぶ

2026年9月時点で「作業するAI」の本命は、Claude CodeかChatGPTのCodexの2つです。私は「会社で選ぶ」ことを勧めています。OpenAIか、Anthropicか、Googleか、xAIか。mimuは安全面を重視してAnthropicのClaudeに重きを置いており、クライアントも基本はClaude Codeで進めています。半年後には変わっているかもしれませんが、「会社で選ぶ」という軸は変わりません。

もう1つ大事なのがコネクターです。エージェントだけでは何も触れません。メールを読ませたいならメールのコネクター、会計ソフトならAI連携できるもの、ファイルならGoogleドライブやBox。つなぐ先が多いほど、AIにできることの幅が広がります。

業務を選ぶ:整理できていなくても、AIに聞けばいい

「業務の整理ができていない」という方ほど効く指示があります。まずこれを打ってみてください。

私のパソコンの中を確認して、
どういった業務をやっているかを推測してください。
推測した後に、私に一問一答形式でインタビューして
業務をヒアリングしてください。

AIが先に推測して、質問してくれます。別の方法として、いつもの業務を画面録画で撮ってAIに渡し、「この業務を分析して」と頼むやり方もあります。手順書がなくてもAIが手順を書き起こし、どこに時間がかかっているかが見え、置き換える業務の候補が出てきます。最初の1つは、毎週・毎月くり返している業務からです。

そのまま自動化するか、作り直すか

よくある依頼が「このExcel集計を自動化して」です。しかしExcelは人が手でやるには最適な道具で、AIに人の手順をなぞらせると遅くて高くつきます。そもそもその集計は、誰が何のために見るのでしょうか。AIありきで考え直し、Excelをなくしてダッシュボードにする。経営陣は「見る・判断する」だけになります。自動化する前に、その業務は本当に必要かを一度疑ってください。

目的の層を上げる

「マニュアル通りにExcelを集計して」は作業の層の指示です。動きますが賢くならず、意味のない作業を速くやるだけになりがちです。「経営陣に報告したい。この数字をどう見せる?」と目的の層で渡すと、AIは目的から逆算して見せ方や集め方まで提案してきます。指示は「作業」ではなく「目的」で渡します。

回し続ける:作って終わりにしない

  • ルーティン機能で毎朝・毎週に定期実行する。電源を入れっぱなしのPCを1台用意する
  • 「何を・なぜ・どこが不安か」を毎回レポートに書かせる
  • 確認する人と場所を決めておく。朝1通のレポートを読む、で十分
  • ずれた点を手順書に反映させる。次からは直った状態で動く

指示に入れる4つの要素

文面より要素です。この4つがあれば、日本語で頼むだけで動きます。

  • 目的:誰が、何のために使うか。例:経営会議で先月の予実を説明したい
  • 材料:渡すファイル・フォルダ・お手本。例:売上CSV、先月の報告資料
  • 出力の形:何をどの形で出すか。例:グラフ付きのHTML1枚
  • 確認の仕方:途中で聞いてほしいこと、最後に人が見る箇所。例:数字の根拠を一覧で添える

うまくいった指示は、その場で「スキル」にします。手順書として保存して名前で呼べるようにしておくと、「紹介状を書いて」の一言で同じ品質が出ます。担当者が替わってもコツが消えず、引き継ぎはスキルを渡すだけです。

正直に。mimuがつまずいた6つの失敗

  1. 画面操作・ブラウザ操作が安定しない。AIに画面を見せてクリックさせる方式は、ボタンの位置や画面の変化で止まります。いまはブラウザ自動化の道具で手順を固定し、AIは指示役に回しています。
  2. 無人実行が、無言で止まっていた。夜中に動くはずのAIが「この操作をしていいですか?」の確認待ちで停止。無人で動かす作業は、許可する操作を先に決めて渡しておきます。
  3. 止まっていることに1か月気づかなかった。レポートが来ないことに誰も違和感を持ちませんでした。「動いた」ではなく「止まった」を通知し、来ない日を検知するようにしました。
  4. クラウド同期フォルダで、ファイルが消えた。大量のファイルを作らせたら同期ソフトが退避して中身が0バイトに。作業は端末内のフォルダで行い、同期するのは完成した成果物だけにしています。
  5. 図の中に数字を描かせたら、間違えた。AIは図を描くのは得意でも、図の中の数字や細かい文字は誤ります。数字と固有名詞は文字で置き、図には短いラベルだけにします。
  6. 人の手順をそのまま自動化して、遅くて高い。Excelの集計手順をなぞらせたら、時間もAIの利用料も膨らみました。業務ごと作り直し、AIが更新しやすい形にします。

失敗は全部、仕組みで防げるものでした。技術の限界ではなく、設計の問題です。

AIエージェントの育て方。東大級の新人に会社を教える

東大級の新人が今日入社したと思ってください。頭は良いけれど、会社のこと、お客さんのこと、先月何があったかは何も知りません。だから「教える」「型にする」「回して直す」。人を育てるのと同じです。柱は3つあります。

AIエージェントの育て方:新人のAIに会社のルールとWikiを教え、AIが学んでいく

情報を育て続ける:社内Wikiの作り方

  1. 議事録・提案書・マニュアル・メールの原文を1か所に置く
  2. AIに、用語・顧客・ルール・決定事項を1テーマ1ページのWikiとして書かせる
  3. 聞くときはWikiを読ませる。質問のたびに原文を全部読ませない
  4. 議事録が増えたら、AIが差分をWikiに書き足す。人は書かない
  5. 人はレビューだけ。間違いを直し、古い情報を消す。月1回で足ります

元ネタは、アンドレイ・カーパシー氏(元OpenAI/Tesla)が提唱した「LLM Wiki」の考え方です。資料を毎回検索させるのではなく、AI自身に整理されたWikiを書かせて育てさせます。mimuはこれを自社と顧問先で運用しています。

改善のループを設計する:5つの決めごと

  • 何を残すか:毎回のレポート(何を・なぜ・どこが不安か)
  • 誰が見るか:確認する人を1人決める。朝1通で済む形に
  • 何を直すか:その場の指示ではなく、手順書とWikiを直す
  • いつ回すか:毎朝・毎週など、時刻で決めて定期実行
  • いつ止めるか:エラーが続いたら止まる条件を決めておく

気合いで回すと3週間で止まります。見る人が決まっていないと誰も見ず、直す場所が指示文だと同じ失敗を繰り返し、止まる条件がないと壊れたまま動き続けます。「人が頑張る仕組み」ではなく「人が見るだけで回る仕組み」にします。

改善のループ:AIがレポートを書き、人が確認し、手順書を直し、AIが直った手順で動く

AIに、AIを直させる

mimuでは、各AIが毎回「何をしたか・迷ったか」のレポートを残し、それを1体の「改善AI」が横断で読んで「ここを直すと良くなる」という提案にまとめます。提案は決裁箱に届き、人は朝1通で承認か差し戻しを返すだけ。承認分はAIが手順書とWikiに反映し、翌日からは直った状態で動きます。改善そのものをエージェントにするのが、育て方の到達点です。

丸投げは失敗する

うまくいかない会社は、AIに任せて見ません。何をしたか分からないまま結果だけ使い、間違いに気づくのがお客さんに出した後で、「やっぱりAIは使えない」で終わります。うまくいく会社は、AIに報告させて人が確認します。だからmimuは、指示する人と確認する人の2人が残っています。

いま、経営者は何をすべきか

第1部の締めは、孫正義氏がSoftBank World 2026の特別講演で経営者に語った言葉を引きました。「AIが仕事を奪うんじゃない。AIを使う企業に、仕事を奪われるんです」。社長の仕事は「AIだ、AIだ」と叫び続け、全業務をエージェント化せよと指示し、「やったのか」と毎日確かめること。この講演の内容は別の記事で詳しくまとめています。

作るのは、もう難しくありません。難しいのは「その業務は必要か」「目的はどの層か」を考え直すことで、それは経営者と現場にしかできない仕事です。対話するAIから、作業するAIへ。今日、AI社員を一人雇ってみてください。

AIエージェント導入のご相談

株式会社mimuでは、今回の内容を自社に当てはめる伴走支援、AIエージェントの開発、社員向けの研修を行っています。第3部で使ったハンズオン教材とプロンプト集は配布資料の記事から無料でダウンロードできます。「何から始めるか」の段階のご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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Moritaって誰だ?(運営者情報)
本名:森田幸輔 |1988年生まれ、熊本県出身 | 現:mimu代表取締役
工業高校時代、同級生がト◯タの工場に就職する中、『クーラーの効いた部屋で働きたい!』という欲望のままにITの専門学校に入学。卒業後、東証一部上場企業のグループ会社で入社1年目からプロジェクトマネージャーとして15年間業務。大手企業や行政案件を担当。
NFTや生成AIなどの最新技術の面白さに魅了され、独立。株式会社mimuを設立。
「挑戦している人をITの力で応援する」を理念に、生成AI導入支援や目標達成支援のサービスを展開。
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