
2026年7月14日、ソフトバンクの法人向けイベント「SoftBank World 2026」で、孫正義氏が2040年の世界像を語りました。AIエージェントが100兆個規模で働き、AIが世界のGDPの約2割を生み出すという内容です。数字が大きすぎて、自社にどう関係するのかつかみにくいと感じた経営者の方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、中小企業が受け取るべきメッセージは「2040年から逆算して、AIが前提の会社(AIネイティブ企業)に少しずつ近づいていく」ことです。大きな投資から始める必要はなく、経営者自身が使い、1つの業務をAIに任せ、成果を3年の目線で測る。この記事では、講演の要点を一次情報をもとに整理し、熊本の中小企業が取り組める「AI経営」の始め方をまとめます。
講演の主題は、ASI(人工超知能。人間の知能を大きく上回るAI)が経済の中心になる「ASI Economy」でした。ソフトバンクの公式レポートと報道で共通して伝えられている数字は次のとおりです。
| 項目 | 2040年の見通し(講演での予測) |
|---|---|
| AIが生む経済規模 | 世界のGDPの約20%、約7,000兆円 |
| AIエージェントの数 | 100兆個規模 |
| ヒューマノイド(人型ロボット) | 10億体規模 |
| 社会の姿 | AIエージェント同士が連携して業務を進める |
出典: ソフトバンクニュース(2026年7月23日)、ITmedia NEWS(2026年7月14日)、TECH+(2026年7月15日)。いずれも2026年10月1日に確認しました。
これらは孫氏個人の予測であり、実現の時期や規模が保証されたものではありません。ただ、「人が操作するAI」から「自分で判断して動くAI」へ重心が移るという方向性は、弊社が支援の現場で感じている変化とも重なります。AIエージェントの基本は「AIエージェントとは?中小企業の業務が変わる実演3選」で紹介しています。
講演で経営者に向けて繰り返されたのが、「AIを使う企業が、AIを使わない企業から仕事を奪う」という趣旨の言葉と、AIネイティブ企業への転換でした。AIが人の仕事を奪うのではなく、AIを使いこなす会社とそうでない会社の間に差がつく、という見方です。
AIネイティブ企業に決まった定義はありませんが、弊社では次の3点を満たす会社と整理しています。
ここで大切なのは、会社の規模は条件に入っていないことです。むしろ、意思決定が速く業務の全体が見渡せる中小企業のほうが、仕事の流れを組み替えやすい面があります。
AI経営とは、AIを「便利な道具」としてではなく、経営の前提として扱う考え方です。講演の内容から、経営者が持ちたい視点を3つに整理します。
孫氏は、15年後に自社の業界がどう変わるかを考え、いまやるべきことを逆算する姿勢を求めました。たとえば「見積もりや問い合わせ対応は、顧客側のAIと自社のAIがやり取りするようになるかもしれない」と仮定すると、価格表や対応履歴をデータで整えておくことが、今日の宿題として見えてきます。
講演では、AIへの投資に対する成果を測る指標として「Return on AI」が示されました。AIに投じた費用に対して、生産性と収益がどれだけ上がったかを、約3年の時間軸で見るという考え方です。導入した月に元が取れるかどうかだけで判断すると、業務の組み直しのように時間のかかる取り組みが進みません。月ごとの費用と、削減できた時間・増えた売上を並べて記録しておくと、冷静に判断できます。
報道によると、孫氏はトップの重要な仕事として、AIの重要性を組織に繰り返し伝えることを挙げています。弊社の支援先でも、導入が定着する会社は、経営者自身が毎日AIを使い、朝礼や会議で「この資料はAIと作った」と話している会社です。担当者任せにしないことが、最も効果のある一手といえます。
2040年の話を、今月の行動に置き換えると次のようになります。
弊社でも、議事録の作成、情報収集、日々の経営レポートの下書きなどをAIエージェントに任せ、人は確認と判断に集中する運用を続けています。最初から全社で始めるのではなく、小さく試して広げる進め方は「生成AIの社内導入 手順|中小企業が失敗しない5ステップ」で整理しています。社員の理解をそろえたい場合は「熊本で生成AI研修を探すなら|企業研修・公開講座の選び方と費用の目安」も参考にしてください。
大きな未来像に触れると、すぐに大きな投資をしたくなることがあります。次の点は落ち着いて確認することをおすすめします。
必ずしも必要ではありません。多くの生成AIサービスは月額制で、少人数から始められます。費用よりも、経営者が使い続けることと、業務の流れを見直す時間を確保することのほうが重要です。料金やプランは変わるため、各サービスの公式情報でご確認ください。
弊社の支援先を見るかぎり、仕事そのものがなくなるというより、下書きや転記のような作業が減り、確認・判断・顧客と向き合う時間が増える変化が中心です。不安を減らすためにも、導入の目的を「人を減らすこと」ではなく「人が力を使う場所を変えること」として、早めに社内へ伝えておくとよいでしょう。
始められます。最初の一歩は、文章で指示を出すだけの使い方で十分です。業務に組み込む段階で迷いが出てきたら、外部の支援や研修を組み合わせると、遠回りを減らせます。
孫正義氏が語った2040年は、AIエージェントが経済の中心で働く世界でした。その実現度合いにかかわらず、「AIを前提に業務を組み直した会社が強くなる」という方向性は、すでに現場で起きています。15年後から逆算する、成果は3年で測る、経営者が自ら使う。この3つから始めることが、AI経営の第一歩です。
株式会社mimuは、熊本を拠点に、生成AIの導入支援・研修・業務アプリの開発を行っています。「自社の業務のどこからAI前提に変えればよいか整理したい」という場合は、お気軽にご相談ください。