
2026年8月末、熊本県内の企業様で、Geminiを題材にした社内向け生成AI研修を実施しました。この記事では、その研修の冒頭で行ったアイスブレイク「チーム対抗ジオバトル」の設計と、本編に入る前の課題設定の考え方をご紹介します。「研修の最初の15分で、全員がAIに話しかけている状態」を作るための工夫です。
参加者に聞くと、ほぼ全員がGeminiを使ったことがありました。それでも、研修の場でいきなり「では業務データをAIに入れてみましょう」と始めると、手が止まる人が出ます。慣れている人と初めての人の差が、最初の10分で見えてしまうからです。
そこで今回は、業務とは関係ない「遊び」から入りました。チーム対抗で、AIを使わないと勝てないゲームです。勝ち負けがあると、自然に隣の人と画面を見せ合い、「どう聞いたら当たるのか」をチームで考え始めます。これが、あとの業務ハンズオンでそのまま効いてきます。
元ネタは、ストリートビューの画像から場所を当てる「GeoGuessr」というゲームです。今回は講師側でHTMLの教材を用意し、以下のルールで進めました。
「30秒ごとに交代」がこのゲームの肝です。一人が操作し続けると、他のメンバーはただ見ているだけになります。交代を強制すると、いま何をAIに聞いていて、次に何を聞くべきかをチーム全員が把握していないと進めなくなります。立ち上がって交代した方がやりやすいので、白熱してくると全員が立ってプレイしていました。
ゲームを始める前に、プロンプトの良い例と悪い例を1つずつ見せました。
悪い例:画像を貼って「ここはどこですか?」
これだと、AIは画像全体の雰囲気から一発で場所を推測しようとします。当たることもありますが、外れたときに次の手がありません。
良い例:「あなたは探偵です。この画像の特徴から場所を特定したいと思います。まず、手がかりになりそうな特徴を列挙してください」
役割を与え、いきなり答えを出させずに「まず特徴を挙げる」という手順を踏ませます。看板の言語、車のナンバープレートの形、建物の様式、道路標識などが列挙されるので、そこから「この看板の文字は何語か」「この地方の候補都市を3つ挙げて」と深掘りしていけます。
これは業務でAIを使うときも全く同じです。「この資料を要約して」より、「あなたは経理担当です。この資料から、支払期限に関わる箇所をまず抜き出してください」の方が、精度も次の一手も良くなります。ゲームの中で体感してもらうのが狙いでした。
各チームの誤差は、71km、4.5km、610m、そして最良チームは71mでした。ほぼ正解地点です。
勝ったチームにコツを聞くと、こう答えてくれました。
「AIに渡す情報を絞る」「AIの答えを人が確かめる」という2つは、業務でのAI活用でそのまま使える型です。研修の冒頭でこれが参加者の口から出てきたのは、狙い通りでした。
アイスブレイクのあとは、Geminiの3つの機能(Gem・Canvas・GAS)を使ったハンズオンに入りました。ここで工夫したのが課題の設定です。
題材は「ヒヤリハット報告」にしました。社外に送るつもりのないメールを送りそうになった、といった、事故には至らないが危なかった出来事の報告です。どの職場にもあり、部署を問わず自分ごとにしやすいテーマです。
ただし、実在の社内データは使いません。架空の企業「株式会社みどり商事」を設定し、2026年5月〜8月のヒヤリハット報告50件を講師側で用意しました。運用ルールも決めておきます。
架空データにする理由は2つあります。1つは、研修中に機密情報や個人情報をAIに入れてしまう事故を防ぐため。もう1つは、全員が同じデータで進めることで、つまずいた人を隣の人が助けられるようにするためです。研修で学んだ流れを、そのあと自社の実データに置き換えてもらう、という順番にしています。
株式会社mimuでは、Gemini・ChatGPT・Claudeなどを題材にした企業向けの生成AI研修を行っています。今回のように、参加者のレベルに合わせたアイスブレイクや、自社の業務に近い架空データを使った課題設計まで含めてご提案します。
「社員のAI利用に差がある」「研修をやったが定着しなかった」といったお悩みがあれば、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。